【コラム】企業の色に「染める」ことは必要か?

みなさんこんにちは。11月も後半半ばにさしかかり、めっきり冬らしくなりました。さて今日は、企業と社員の向き合い方の変化についてお話したいと思います。

戦後、高度成長期を通じて日本企業は「人材調達」という大きな経営課題の壁に当たりました。それを克服する過程ででき上がってきたのが、新卒一括採用システムだと言われています。
企業は長期間人員を確保するため、当然のごとく採用した社員を会社のカラーに染めていきます。このことを一方の社員側から見ると、終身雇用システムがあったからこそ、“安心して”染まることができたという側面もあるでしょう。こうして会社人間が量産されていったのです。

これらのシステムが社会に浸透するにつれ、「より良い会社」「より良い大学」「より良い高校」という競争を子供たちに強要する風潮が一般化していきました。しかしそれが過熱しすぎたために、一時期「受験戦争はよくないことだ」という風潮に傾くことになります。
私たちがゆとり教育の導入を受け入れたのは、このような背景があったからではないでしょうか。

しかし時代は変わり、大量の人材を調達することはもはや経営課題ではなくなりました。

むしろ「社員の生産性をいかに上げるか(逆に言えば賃金という労務コストをいかに下げるか)」が新しい経営課題となったのです。

つまり、新卒一括採用も、終身雇用ももはや時代のニーズにあわない仕組みになってしまったのです。

ですから、私たちは過去のやり方を一度捨てて、冷静に経営ニーズにあった人材調達手段を考えざるをえないタイミングにきているのです。

さて、ゆとり教育に話を戻しましょう。

つねに競争と隣り合わせである企業側から見ると、問題ばかりが目につくこの教育戦略ですが、もっと広い視点で見ると大きな変化の息吹も感じます。

それは、ゆとり世代は「会社に頼らない(あるいは経済的幸福に依存しない)」で自分の人生を真剣に考える世代になるのではないか、と思うからです。

当社の新人たちを見ていても、入社当初は会社や社会に染まろうと必死になるものの、無我夢中の時間は大体2年くらいまでで、おおよそ3年目あたりから、自分の適性やキャリアや人生観を真剣に考え出します。特に結婚をした男性社員はその傾向が強く、驚きます。

いずれにしても、私たちの年代(従来の価値観)よりは、かなり早い段階で自分の幸せを見つけようと努力しているのです。

ですから、私たちマネジメントも彼らを「染める」という“常識”を一度疑ってみる必要がありそうです。

社員が変わり、企業もその向き合い方をも変えざるを得ない、大変面白い時代がきたとも言えるかもしれませんね。

2010.11.18 樋口弘和

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