今日のテーマは30代中盤までの若手のパーソナリティについてです。
私自身、最近の若手社員と接してみて、まず驚くのは「失敗に対する過剰反応」です。
私たちは仕事を通じて成長していきます。
成長というのは能力を上回る仕事をひとつずつ克服することでできるものであり、当然そこに辿り着くまでにはたくさんの「失敗体験」があるわけです。
しかし、最近の若者はそれに対して怖気づいてしまったり、簡単にくじけてしまうのです。
これには私たち親の教育方針が行き過ぎた受験戦争から、「本人の適性や意向に沿ってなるべくやりたいことをさせよう」と変わってきたことの影響を感じます。
今の若者は親や先生、先輩からの一方的な押付けや命令などの理不尽な経験が少なく、「心がくじけるような失敗体験」が乏しいのです。
つまり、彼らは辛いときに踏ん張るチカラが身についておらず、折れやすい敏感な心をもったまま働くことになります。
そのため、社会に出て初めて失敗体験に直面した時に耐えられるかどうかは、生まれ持った性格や気質に左右されることになり、その結果心が折れてしまう若者が続出しているのではないか、と私は見ています。
また教育方針の変化だけではなく、社会背景も大きな影響を与えているように感じます。
不安定な時代に育っている彼らには、私たちが信じていたような「会社は絶対だ」とか「リスクをとって起業すれば大きなリターンが得られる」という単純に思い込める根拠や価値観が少ないのです。
親子を通じて共感できる常識や考え方が成り立たなくなり、心の拠り所がなくなってしまったとも言えるでしょう。
高度成長期に育てられた私たちはこのハンディキャップを十分理解し、彼らとコミュニケーションを図ることが肝要です。
そのためにはコミュニケーションの方法を大きく変えることが必要です。
具体的には量(回数)を増やすことと相手目線でおこなうことが大事だと考えます。
これは多忙なマネジメントにとっては極めて負荷の高いことですがコミュニケーション量に比例してその負荷は下がっていくものです。
私の経験から言うと、新卒入社3~4年くらいで、“挑戦→失敗→反省と学び→引き出しを増やして再挑戦“というサイクルをひとりで回せるようになります。
それができるようになると四半期に一度程度の頻度でフィードバックをすればよい関係が維持できるようになるはずです。
こうした時代だからこそ、彼らの将来のことを考え、入社数年は時間を割いてでもコミュニケーションをおこなうことが大事だと私は考えています。