多くの面接官は面接の祭に成功体験ではなく、失敗体験を尋ねることが多い。
例えば、「今までの人生で、一番痛い思いをしたことを教えてください」などです。
なぜそんな質問をするのかというと、失敗体験は人間的に鍛えられることが多く、
「あの経験を経て、私は変わりました」というような事実を引っ張りだせるからです。
反対に成功例をあまり聞かないのは、その中に本人の貢献がどれほどあるのか、
よく分からない場合が多いからです。
もっとも、応募者がどれほど素晴らしい成功体験を話しても、面接官は質問を重ねて
真実を見抜きます。例えば「ある仕事で賞をとった」という話の場合は、
「その賞は何人中何人が表彰されたものですか?」「誰が決めるのですか?」
「それほど難しい賞なのですか?」とどんどん聞くうちに、実はただの持ち回りの
賞だと分かったりします。
このように、深掘りしていく作業は、コンピテンシー評価面接では重要で、
応募者が仕事をする姿がイメージできるまでしつこく、本当にしつこく聞いていく。
応募者がハイライトだと称する事例について、本人がどのぐらい力を発揮したかが
わかれば、「大したものだ」とも「この程度か」とも判断できます。
このように、応募者が手柄話として語る経験も、面接官はかなりシビアに実態を
とらえ、判断している。事実重視のコンピテンシー評価面接は、応募者の
本当の実力を容赦なく洗い出すため、覚悟した方がよさそうだ。
樋口弘和
出典:まずは、「1社3年」働いてみなさい!(すばる舎)P.167~168 一部抜粋、改