【コラム】メンタル面の見極め

 

適性検査で見抜けることの一つにメンタル面があります。メンタル面での強さは近年、とくに注意している企業が増えています。これは心遣いやコミュニケーションスキルを求められる仕事が圧倒的に多くなってきたことも背景にあると思います。

こういう時代の人材は、心の強さがものをいいます。採用時にメンタル耐性をチェックすることはとても大事であり、この力があまりに弱い人を仲間に入れないようにするのも人事管理のうえで大きなポイントです。メンタル面の強さは適性検査でもある程度見抜くことが可能でしょうが、やはり面接で実際の行動事実を聞き出しながら、どれほど無理をして生きてきたか、つまり目標を高く保ってきたかを知ることが第一でしょう。さらに、その達成のための具体的行動で、ストレスに対する耐性の強さがおおよそわかります。

心の問題は採用面だけでなく、入社後の人事管理全体の問題です。ネットや技術の進歩で、ここ20年ほどでホワイトカラーの生産性は世界的に高まり、日本では2倍から3倍ほど時間当たりの業務負荷が高まっているのではないかな、と感じています。つまり同じ時間働いても、そのストレスは2~3倍増になったというわけです。こういう時代変遷も考えると、残業の管理も含めて、仕事をやらせすぎないようにするのも一つの方向性です。

モーレツ社員の時代も過去にはありました。家庭など顧みず、長期休暇など何年も取らず、ひたすら働けるだけ働いていた時代があったのです。でもそれは世の中全体が、働けば働いただけ成長している実感があったからできたことでしょう。いまとは社会そのものが違います。またこれからは、人それぞれの価値観に合わせた働き方を認めざるを得ない時代だろうと思っています。働き方とは労働時間だけではなく、仕事の適性や難しさも含まれます。同じ職場でもいろいろな価値観の人がいますから、一定以上の仕事の負荷をかけると、パタッと倒れる人が出てきてしまいます。

心の問題で悩んだ人の話を詳しく聞いていると、目標の高さと自分のパフォーマンスのバランスが崩れてきているようです。単純に長時間労働が悪いというのではなく、目標の高さに問題があるのです。しかもその感じ方には個人差があります。こうした心理的耐性は、人によって強み弱みがあるので一概にはいえません。ただ職場全体を考えると、いまは入社1年目からプロフェッショナルな仕事ぶりを求められます。人件費をどんどん削ってきた結果として、職場にゆとりがなくなってきているわけです。

さらに、そこにインターネットなどバーチャルな世界が大きくなってきた影響で、社会と学生の距離が遠くなってしまっています。情報だけはふんだんにあるので、一見近そうに見えますが、体感していないから決定的な部分で溝が深くなっているのです。

メンタル耐性をいくら採用時にチェックしたとしても、その後の職場環境などによって本来強いはずの人でもしだいに弱ってしまうこともあります。採用時に求めるパフォーマンスとその適性を知りたいと考えている企業は多く、関心も年々高まっています。人件費に見合ったパフォーマンスを発揮してほしい、そのための適性を見たいというわけです。ストレス耐性もそこに含まれています。

樋口弘和

出典:新入社員はなぜ「期待はずれ」なのか(光文社新書)P.109~114 一部抜粋、改

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